岩村藩 (いわむらはん)
≪場所≫ 恵那郡(えなぐん)岩村町
岩村藩からは、幕末屈指の思想の権威・佐藤一斎が出て
いる。一斎は江戸藩邸で重臣の子として生まれ、英才
素晴らしく、メキメキと頭角を現し、幕府文教の中心的
人物と成った。
幕府儒員で昌平學教授を務め、全国から門人が殺到し、
門人3000人という大所帯を作った。
水戸藩主・徳川斉昭や佐賀藩主・鍋島閑叟ら有識大名の
尊崇を受け、幕末屈指の先覚者である渡辺崋山・佐久間
象山・大橋訥庵・横井小楠らも一斎から儒学を学んでいる。
一斎の才覚は、学問・詩文だけに留まらず、人格において
も第一級であったという。
立居振る舞いは物静かにして、言葉は多くも少なくもなく、
丁度よい具合に教え諭したという。
幕末動乱が激しさを増す前の保守主義思想の模範的な
人物であったが、幕末維新に与えた影響は多大であった。
一斎の著書『言志四録(げんししろく)』は有名である。